妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

国民的作家

『日暮らし』宮部みゆき 著(講談社
日暮らし 上 日暮らし 下
出せば売れるベストセラー作家・宮部みゆきの最新刊。『ぼんくら』の上下巻に続く時代小説の傑作だ。もちろんこれ単独で読んでもおもしろいが、まず『ぼんくら』を読んでからこっちを読んだ方が断然楽しめる。
読みやすさ、ストーリー、キャラクター、謎とその解決に至る展開、物語に潜むテーマ、どれをとっても非の打ち所が無い。ま、あえて言えば“長い”ところかな。でも一気読みできるんだから、問題にもならないか。
登場人物がどれもいい人ばっかりで、読んでて思わず微笑んでしまう。そしてそれぞれが喋る言葉や、起こす行動にじんわり泣けてくる場面が何度もあった。
井筒平四郎、弓之助、お徳、佐吉、おでこ、もう皆キャラが立ってる。人物造形がすばらしい。愛すべき人間ばかりなのだ。
もしこれをドラマ化するとしたら配役はどうなるのか。これを考えるのは楽しい。僕が考えたのは未読の方に先入観を与えてはまずいので控える。いちばん難しいのは弓之助だと思うぞ。こんな子供いません。