『始祖鳥記』飯嶋和一 著（小学館文庫）
最近買ってばかりでちっとも読んだ本の感想を書いていない。
原因はこの本を読んでいたからだ。時代小説の一大長編。以前にどこかで北上次郎氏が大絶賛していたのが印象に残っていて、文庫になっていたのを見つけて買っていたのだ。
まずパラパラめくってわかるのが、「字が多い！」ということ。いくら時代小説だからといっても多すぎるぞ。
でも我慢して読んでみると、これがなかなかすごい小説だということがわかる。
江戸時代天明期、羽をつけて空を飛んだ幸吉の一生を書いたものである。こういうと「なんだそりゃ」であろうが、自分の気持ちに素直に従った結果、空を飛ばざるをえなかった天才の話だ。
登場人物は幸吉のほか、塩問屋の伊兵衛、幼馴染の源太郎など。こいつらみんなすごいことをやってのけるんだが、そのきっかけがすべて「人」だというところがいい。「あいつがやってるんだ。俺もやらなきゃ」という純粋な動機がすがすがしい。なんともアツイ話なのである。
難しいことを考えていても始まらない。まずはやってみることだ。
・・・その通りです。
