『あすなろ物語』 井上 靖 著(新潮文庫)
読んだことない名作ってのはときどき無性に読みたくなる。夏休みの文庫キャンペーンなんかにまんまと乗せられるときが多いが、これは何で読みたくなったのかなぁ? いつのまにか買ってあった。時間がたつと自分でも動機がわからなくなる。でもいいや。
井上靖の自伝的小説なのだそうだ。主人公・鮎太の少年時代から大人になるまでをその時々のエピソードを並べてつづる。太平洋戦争もからんでくるが、いつの時代も青春というのは変わらない。終戦後の焼け野原から立ち直ろうとする鮎太を始めとした仲間たち。その描写の中に青春時代の熱さが感じられる。
主人公がすくすくとまっすぐ育っていくのかと思いきや、あっちへふらふらこっちへふらふら結構寄り道している。それが意外でおもしろかった。