妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

リマスター?

僕は向田邦子の作品は『父の詫び状』しか読んだことがない。したがって向田作品についてどうこう言える立場じゃないんだけど、それでもこの『父の詫び状』は大・大・大好きなエッセイであるということは言わせてもらいたい。
たまたま他の作品に手を出してないだけで、追々向田作品は読んでいこうと思っている。
そんでつい最近、この『父の詫び状』の新装版が文春文庫から出た。活字が大きくなって読みやすくなったそうだ。書店でパラパラとページをめくっていたが、思わず買ってしまった。もちろん旧版は持っているのである。中身もまったく同じ(当たり前)なのにである。解説なんかは新しくなっているんじゃないかなー、なんて思ってみたら、旧版そのまんまだった。
持っているのに新装版を買う。この行為、どこかでやってるなぁと思ったら、CDのリマスター盤の再発売を繰り返し買うのと同じではないか。
僕は好きなアルバムのリマスター盤が出たらすぐに買う。そして旧盤を処分する(売る)。音質向上の技術の進歩はすごいから、リマスター盤ってのはけっこう頻繁に出る。何度も同じアルバムが再発売される。そのたびに買いなおす。これって音楽好きなら当たり前でも、「なんで?」って言われることも多いんですねぇ。同じものを買いなおすという行為が信じられないらしい。
『父の詫び状』は活字を大きくして組みなおしたわけで、言ってみればリマスター版(“盤”じゃない)だ。これは買わずにはいられない。
古典文学もリマスター版でどんどん出せば、読んだことのない人が読むいいきっかけになると思うんだけどなぁ。